皆さんはパワハラを職場で見た事・経験した事はありますか?
私はあります。
14年程前になりますが、当時働いていた歯科医院でパワハラが常態化されていました。しかも、院長が根源でしたので職場は地獄でした。職場とは、社会とはこういう厳しいところなんだ。と常々と洗脳され、パワハラ自体を正当化している職場でした。
社会経験の少ない私でもさすがに分かります。ここは普通ではないと…。
また詳しくは別の記事にしようと思いますが、当時の事を思い出す事で、かなりのストレスを感じるので…、気力・体力ともに十分に残っている時に書く予定です。
当時からパワハラという言葉自体はあったので、これはパワハラに当たるという認識をしていました。あとは院長の人格自体が歪んでいたので、モラハラにも当たるのではないか。と見当をつけていました。
このような当時の経験から、ハラスメントに関して興味を持っていました。なので、関係がありそうなニュースなどは知識として蓄えるようにクセづいています。
そこに先日、2020年6月より『パワハラ防止法』施行のニュース!どれどれ、と内容を読んでみました。
はじめに結論から言うと、
パワハラ防止法でパワハラは防止できない!
パワハラ防止法について、ざっくりとした内容と私の考えを書きたいと思います。
パワハラってなに?パワハラ7種!
パワハラってそもそもどんな事なの?
大きくわけると7種類あるそうです。
ざっくりと確認しましょう。
1、身体的な攻撃(叩く蹴るなど)
2、精神的な攻撃(脅迫、ひどい暴言)
3、人間関係からの切り離し(隔離、無視など)
4、過大な要求
(業務上明らかに不要な事や、遂行不可能なことの強制、仕事の妨害)
5、過小な要求
(能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる事や与えない事)
6、個の侵害(私的な事に過度に立ち入る事)
7、経済的な攻撃
(自腹購入の要求、罰金、不当な減給)
文字での説明だと難しくなってしまいますね。
たとえば、同僚の前で叱責される。他の社員を含めたメールで罵倒される。は2.精神的な攻撃に当たります。営業職なのにコピー取りばかり要求される。は5.過小な要求に当たります。
覚えておいて欲しいのは、上記の7種は、パワハラに当たる行為をすべて網羅しているわけではありません。
7種に当てはまらないから、これはパワハラじゃないよね?という不快な行為があったとしたら…それはパワハラじゃないか?と問題視する必要があります。
ちなみに、以前の私の職場では7種全てが行われていました。とっても自然にパワハラが職場に存在している状態。
すると次第に『自分が無能だからこのような扱いを受けても当然なのではないか?』と思ってくるんですよね。怖いですね…
パワハラ防止法とは?
まず、施行時期が大企業と中小企業で違います。
大企業は2020年6月から
中小企業は2022年4月から
それではパワハラ防止法の中身をざっくり…
1.社員からパワハラの相談を受けた時に対応できるよう体制を整える事。
2.被害者への不利益な扱いの禁止。
3.従業員へのパワハラ理解に勤める事。研修など実施する事。
4.事業主(トップや幹部)も自らの言動に注意を払うよう努力義務を課す。
結論、パワハラは無くならない。
実際の中身を見てみなさんはどう感じましたか?
パワハラ防止に向けて一歩を踏み出しただけにすぎない。というのが今回のパワハラ防止法の現状だと私は捉えました。
注目して欲しいのは罰則なんですが…、
罰則は無し!
罰則はありません!
防止にならないだろうがーーー!!!というのが正直な感想です。よくこの法案にパワハラ防止法と銘打ったなという感じ。『パワハラやめてみたらどう?法』の方がしっくりくるな。
よって、パワハラは無くならない。と結論づけました。
今回のパワハラ防止法では、強力な抑止効果はない。しかし、これまで以上にパワハラが問題視され、認識が浸透していくだろうと期待はしています。将来的には事案が悪質な場合は企業名の公表も検討されているとの事。
じゃあ、パワハラを受けたらどうしたら良いの?
あかるい職場応援団(厚生労働省 運営)によると…
このような解決へ向けた行動を起こしましょう。と記されています。
1.どんなことをされたのか記録する周囲に相談する
2.会社の窓口や人事担当者に相談する
3.外部の相談窓口に相談する
が…、
私の経験上では 周囲に相談する / 会社の窓口や人事担当者に相談する では解決へつながる事のほうが希だと感じるのです。むしろ悪化するリスクがある。というのが個人的な意見です。
周囲に相談する
パワハラは我慢していても解決しません。それどころかエスカレートする可能性があります。一人で悩まず、まず同僚や上司に相談しましょう。周りの協力を得ることで、パワハラを行う本人が自らの行為に気づく場合があります。
引用:あかるい職場応援団
同僚や上司、どこまで真剣に考えてくれるでしょうか?パワハラを受けていない人にとっては、こちらの苦しみに共感しずらいものです。考えすぎなんじゃない?と軽く受け止められる場合が多々あります。果たして、そこから強力を得られるでしょうか?
会社の窓口や人事担当者に相談する
上司に相談できない場合は、人事部や社内相談窓口に相談しましょう。会社等の組織は、相談者が不利益にならないよう、プライバシーの確保を配慮することを求められています。
引用:あかるい職場応援団
小さな会社の場合、人事部や相談窓口それ自体がありません。
少し規模感が大きめの企業で人事部がある場合、その担当者のパワハラに対するリテラシーはどの程度でしょうか?普段の業務で手いっぱいで、パワハラなどその他の勉強の機会が少ないように感じます。
ここまでを整理すると、こうなります。
ここまで暗い話でごめんないさい。
私の経験ではこうだった。という事です。
ここからは、
パワハラ解決!には至らないけど、やった方がマシだと思った点を。。。
どんなことをされたのか記録する
パワハラと思われる行為をされた場合は、いつどこで誰が何を何のために(5w1h)したのかを記録しましょう。後々の事実確認などで有効なので、メモや録音など最適な方法で記録を残すことをお勧めします。
引用:あかるい職場応援団
私のパワハラに対する解釈では、ちょこちょこと細かいハラスメントがミルフィーユの様に重なってパワハラになるという感覚。
分かりづらいですね。
例えば、同じ上司のしたで1年間働いたとして
- 上司に舌打ちをされた。(3ヶ月に1回位)
- 上司に舌打ちをされた。(毎日10回づつ)
舌打ちをされた事実は変わらないですが、部下が受けるダメージはどうでしょう?
明らかに 毎日10回づつ舌打ちをされた 方が精神的な攻撃を受けていますよね。
この様にパワハラになっている行為自体は、ささいな事である場合があります。だから、それを聞いただけではパワハラと判断できないのです。
その行為の頻度や回数がパワハラを証明するのに大切になる場合があるのです。
ささいな事、頻度や回数が多い事ほど全てを覚えておく事はできません。だからこそ記録する事をおすすめします。
外部の相談窓口に相談する
社内に相談窓口がない場合や、社内では解決できない場合は、外部の相談窓口に相談しましょう。全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーは、無料で相談を受け付けており、電話でも相談できます。
引用:あかるい職場応援団
社内の人だと近すぎて客観的に判断する事が難しい場合があります。秘密が守られるのかという点も心配ですし、外部のプロに相談するのが良いと思います。一応、リンクを貼っておきます。
あかるい職場応援団 相談窓口のご案内 より
https://www.no-harassment.mhlw.go.jp/inquiry-counter
★ 逃げる ★ これが最大の解決策!
世界基準から大きくかけ離れている日本のハラスメント禁止規定
日本がどのくらい世界基準からズレているのか説明する前に、ILO事務局(国際労働機関)についてちょっと知ってください。
LO事務局(国際労働機関)….みんなが働きやすい世界的な基準(国際労働基準)を作っている機関。近年では、男女の雇用均等や同一労働同一賃金の徹底などに力をいれている。加盟国:187カ国(2019年3月時点)
ILOでは189の条約が掲げられているのですが、日本はそのうち49の条約(全体条約の約4分の1)しか批准していない。という残念な状況。ヨーロッパ諸国のおよそ半分またはそれ以下である。
ハラスメントについても日本はILO条約とは大きな差があります。世界基準に比べて、どれだけ日本が甘い基準になっているか分かると思います。
●ハラスメント行為への対策●
(ILO条約)法的に禁止する (日本)行為自体の禁止規定なし。企業の努力義務。
●違反した場合●
(ILO条約) 制裁を行う (日本)悪質な場合は厚労省が指導。従わない場合、公表。
●被害者●
(ILO条約)雇用関係の関係なく幅広く対象 (日本)就活生、フリーランスなどは対象外。
なぜここまで日本は世界基準とはかけ離れているのでしょうか?
日本の規制が甘くなったのは、経団連など経済界が訴訟リスクや罰則を恐れ、規制に反対、政府が配慮したためだ。 東京新聞:TOKYO Web / 2019年6月9日 朝刊
どうですか?この事実。これこそ日本の労働者へ対する経団連・政府からのパワハラ。
連合など労働組合は追加改正や指針強化を急ぎ、速やかに条約を批准することを主張しているが、日本政府は慎重。根本匠厚生労働相は条約を支持し、批准するかについては国会で「内容を踏まえて検討する」と明言を避けている。 東京新聞:TOKYO Web / 2019年6月9日 朝刊
昨年の総会では欧州やアフリカ諸国が主導し、条約制定が決まったが、日本は必要性について立場を保留。中身に関しても日本は「各国の事情に合わせ柔軟な内容にすべきだ」と被害の対象者の限定など水準引き下げを要求した。出席者によると、「後ろ向きな主張が多い日本政府に各国から失笑が漏れた」という。 東京新聞:TOKYO Web / 2019年6月9日 朝刊
つまり。。。労働組合から早く世界基準に追いつきましょう!と要求があったが、政府はよく考えないと決められない〜と逃げ。消極的な日本政府へ世界から失笑が送られた。という事ですね。
パワハラは無くなるのか?まとめ
今回はパワハラ防止法を取り上げました。
日本政府は、労働者の働く環境の改善を正面から取り組んでいない。と言うことが分かりました。考えているように見せかけのポーズをとっているだけに見えます。
今回、記事を書く上でパワハラや働き方改革などを調べました。その時に思い出したのが、2015年に大手広告会社の電通で起こった過労自殺の件でした。
当時24才の女性。過労を苦に自ら命を経った。認定されているだけでも月100時間の越えの残業が常態化していた。
- これに対し電通への罰則は50万円。
- 2019年9月、電通は労働基準監督署から是正勧告を受ける。つまり過労自殺が起こった後も適切な管理がされていなかったという事だ。
大企業に対し50万円という金額。中学生でも分かるだろう。これでは全く企業に対し痛手にはならない。痛手にはならないからまた繰り返す。その証拠が2019年の件だ。
国・企業ともに労働者の事は考えてはいない。
国は企業に甘く、労働者の命を軽視していると言ってよい。
今回のパワハラ防止法もそうだが、今後も国・政府が労働者へ歩みをみせる姿勢を見せてきた時、しっかり中身も見て欲しい。実態は労働者を救済できるような内容にはなっていないはずだから。
そして、その姿勢がどう変化していくのかも忘れずに、私たち労働者一人ひとりが 国・政府の行動を監視する必要がある。そうでないと改善もされず本当に野放しにしてしまう。
私は引き続き『パワハラ防止法』の今後の行方に注目していこうと思う。そして、もっと関心を持って労働者を取り巻く法律や制度を勉強していこうと思った次第です。
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