HSPとは何か?敏感・繊細ってどういう事?

HSP・HSCとは?

最近、よくテレビや雑誌などでもHSP(エイチ・エス・ピー)という言葉を耳にするようになりました。

『HSPってなに?』ちょっと気になって、調べたのではないでしょうか?

 

HSPは他にも、『敏感な人・繊細な人』と呼ばれる事があります。

敏感で繊細なHSPが持っている特性のおかげで、人よりも感動しやすかったり、他者に対して思いやりが持てたり、幸せを感じやすかったりします。

けれど、『とても敏感・とても繊細』な為に、傷つきやすい、ストレスを抱えやすいなど、生きずらさを感じているHSPがいるのも事実です。

 

あれ?なんか心当たりあるかも…と感じた方。もしかしたら、あなたもHSPかもしれません。

 

この記事では、『HSPって、一体何なの?』を知るためHSPの特性、敏感・繊細ってどういう事なの?などご紹介します。

HSPセルフチェックもありますので、ぜひお試しください。

 

HSPの特性を正しく理解し、少しでも安心して心地よく暮らせたら。そんなお手伝いができる記事が書けていたら嬉しいです。

HSPとは何か?

まず、読み方ですが、

“Highly Sensitive Person”(ハイリー センシティブ パーソン)の頭文字をとって“HSP”(エイチ エス ピー)と読みます。直訳すると『とても敏感な人』という意味。

 

HSPを一言で説明すると『敏感で感じやすい』という言葉に集約できます。

 

光・音・香りなど五感で感じるもの。雰囲気・気分などを察知する能力。様々なことに長けています。ほんの一部ですが、例えば…

 

  • 映画を見ると感動して、しばらくは余韻に浸っていたい。
  • 景色や音楽で感動して涙がでる。
  • 雨の前の香りが分かる。
  • 周囲の人の不快な状況に気が付き、サッと対応ができる。
  • 仲間に入れない人がいると、会話を振ったり自然と気が使える。

などなど。

 

逆に敏感な部分が、良くない方向へ働いてしまう時もあります。例えば…

 

  • 機嫌が悪い人がいると気になってドキドキ。
  • 「おはよう」の一言で人の機嫌がわかる。
  • 突然の大きい音に、人よりも大きく驚いてしまう。
  • 長い時間、人と一緒にいると疲れる。
  • 細かな事が気になり、仕事に時間がかかる。

など、このような事です。

 

あらゆる事に、気が付きすぎてしまう。その事がとても気になり、精神的に疲れ切ってしまう。という事がHSPさんには良くあります。

 

「気にしなければいい」

「考えすぎ」

「神経質すぎる」

 

周囲の人にこのように言われる事もあるでしょう。傷つきますよね。

 

そんな辛い状況でも、HSPさんは『自分の努力が足りない』『我慢が足りない』『気にしすぎ無いように、もっと精神力を鍛えなきゃ』と自分を追い込む傾向にあります。

 

けれど、それは間違えなんです。そんな事しなくて良いんです。努力も我慢も人並みにしています。いえ、それ以上にしているかもしれません。

 

HSPの特性のため同じ物を見ても、『人よりも多くの情報を受け取っている』『感じている』という状態なのです。

 

受け取る情報が多い訳ですから、非HSP(HSPではない人)よりも処理するのに時間を使ったり、反応が大きくなってしまう。それは当たり前であり、自然な事です。

 

決して、自分を責めるような事はしないでください。

 

HSPについて覚えておきたい5つの事

生まれ持った性質

HSPは持って生まれた性質です。育った環境・育て方でなるものではありません。
病気ではありません
敏感なゆえに生きずらさを感じたりしますが、いわゆる障がいや病気ではありません。

5人に1人

人口の約15~20%がHSPです。この割合は人種・性別によっても変わりません。

敏感さは人それぞれ

人の感情・におい・味覚・動物の気持ちなど、同じHSPでも何に敏感かはそれぞれ違います。

見た目ではわかりません

後天的な環境によって、敏感さが目立たなくなる事もあります。派手なファッションをしていても、実はとても繊細だったり。得意な事で自信を付け、堂々とした振る舞いができたり。

 

あなたはHSP?セルフチェック

HSPチェックリスト

次の質問に、感じたままを答えてください。どちらかと言えば当てはまるのなら「YES」、全く当てはまらないか、ほぼ当てはまらない場合は「NO」と答えてください。

  1. 自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気づくほうだ
  2. 他人の気分に左右される
  3. 痛みにとても敏感である
  4. 忙しい日が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが守られ、刺激から逃げられる場所に引きこもりたくなる
  5. カフェインに敏感に反応する
  6. 明るい光や強いにおい、ザラザラした生地、サイレンの音などに圧倒されやすい
  7. 豊かな想像力を持ち、空想にふけりやすい
  8. 騒音に悩まされやすい
  9. 美術や音楽に深く心を動かされる
  10. とても誠実である
  11. すぐに驚いてしまう
  12. 短時間にたくさんの事をしなければならない場合、混乱してしまう
  13. 人が何か不快な思いをしているとき、どうすれば快適になるかすぐに気づく(例えば電灯の明るさを調節したり、席をかえたりするなど)
  14. 1度にたくさんのことを頼まれるのが嫌だ
  15. ミスをしたり、忘れ物をしたりしないよう、いつも気を付けている
  16. 暴力的な映画や、テレビ番組は見ないようにしている
  17. あまりにもたくさんのことが自分の周りで起こっていると、不快になり変化があると混乱する
  18. 生活に変化があると混乱する
  19. 繊細な香りや味、音楽を好む
  20. ふだんの生活で、動揺を避ける事に重きを置いている
  21. 仕事をするとき、競争させられたり、観察されたりしていると、緊張していつもどおりの実力を発揮できなくなる
  22. 子供の頃、親や教師は自分の事を「敏感だ」とか「内気だ」と思っていた

得点評価

質問のうち12個以上に「YES」と答えたあなたは、おそらくHSPでしょう。

しかし、どんな心理テストよりも、実際の生活の中で感じていることのほうが確かです。たとえ「YES」が1つた2つしかなくても、その度合いが極端に強ければ、あなたはHSPかもしれません。

引用元:1万年堂出版 HSCの子育てハッピーアドバイス 著:明橋 大二 より

 

HSPの4つの性質~DOES(ダズ)とは~

HSPにはDOES(ダズ)と呼ばれる4つの性質があり、HSPの場合は必ず4つ全ての性質に当てはまると言われています。

 

  1. Depth of processing(処理の深さ)
  2. Overstimulated(過剰に刺激を受ける)
  3. Empathy and Emotional(共感力が高い・感情の反応が強い)
  4. Sensitivity to subtle stimuli(ささいな刺激を察知する)

 

D【処理の深さ】

1つの情報に対し徹底的に処理します。

例えば、リンゴが目の前にあるとします。非HSPは、(リンゴだな)と思うだけでしょう。

 

しかし、HSPの場合は、

(どこのリンゴか)(手触りはどうか)(どのように切り分けるか)(どのような触感なのか)(裏にキズがあるかも)

などなど、じつに様々な事を一瞬のうちに考えます。

 

この様な処理の深さが、周りで起こる事のすべてに対して無意識に行われています。

 

処理の深さにより、このような事が現れます。

 

  • 先読みする能力が高い
  • リスク回避が上手い
  • 本質的な事がわかる(お世辞を見抜く)
  • 1を聞いて10を知ることができる
  • 無意識に仮説・検証を繰り返す
  • 会話のテンポが速い人が苦手
  • 世間話より哲学的な話題に興味がある
  • 複数人と話すとき気後れしてしまう
  • 何度も同じことを考えてしまう
  • 消耗しやすい
  • 疲れると全ての機能がガクッと落ち、周りに気を配れなくなる

 

O【過剰に刺激を受ける】

刺激というのは、大きな音や光、暑さや寒さなどの五感から感じるもの。あとは精神的な刺激の事も指します。

 

いずれも過剰に刺激を受けやすいので、すぐに刺激でいっぱいになってしまいます。

 

同じ刺激を受けても、

非HSPは(感じる刺激量:10)、HSPは(感じる刺激量:100)このぐらい受け取る量が違うのです。

 

  • 人と会うとグッタリ疲れる
  • エンジン、サイレン音に圧倒される
  • 空腹や痛みに弱い
  • 楽しい予定があっても、考えているだけで興奮し疲れる
  • 雷を極端に怖がる
  • カメラのフラッシュが苦手
  • 間違えを指摘されると長く引きずる
  • 強い口調で言われるとフリーズしてしまう
  • 何気ない相手も発言に傷つく
  • 監視されることが苦手

 

E【共感力が高い・感情の反応が強い】

脳には「ミラーニューロン」と呼ばれる神経細胞があります。

 

この働きによって、他の人が何かしたり感じたりすると、あたかも自分がそうしているように感じます。

 

このミラーニューロンの活動は、HSPさんはとても活発です。共感力が高く・人の心を読むことに長けています。

 

しかし、他人との境界線があいまいになり、相手からの影響を受けやすいという部分もあります。

 

  • 職場などで気分が落ち込んでいる人がいると、心配になり気になる
  • 人のちょっとした表情から相手の気持ち体調が分かる
  • 怒られている人を見ると、自分も傷つく
  • 映画やドラマで感情移入しやすい
  • 言葉の通じない幼児・動物・外国人の気持ちが不思議と分かる
  • 他人よりもまず自分が悪いと思いがち

 

S【ささいな刺激を察知する】

人や環境の少しの変化にも気づきます。また、自分の外側からの刺激・体内の刺激、両方を敏感に察知します。

 

  • 小さな音、かすかな匂いに気づく
  • 人の髪型や服装の変化へすぐ気づく
  • 家具やインテリアの配置が少し変わってもすぐ分かる
  • 人が自分をどう思っているのか察する
  • 相手のちょっとした励ましの気持ちに気づく
  • 薬を飲むとすぐに効く
  • 頭痛・腹痛を感じやすい

 

HSPは劣っているわけではありません

HSPの性質DOES(ダズ)をご覧になってどうでしたか?きっと、さまざまな感想があるでしょう。

 

  • ほかの人もみんなが、このように感じていると思っていた
  • みんな我慢しながら生活していると思っていた
  • 自分の我慢が足りないと思っていた
  • 気にしすぎだと思っていた

 

私が初めてHSPの特性を知った時、生きにくさの原因がHSPの性質から来るものだと分かり、少しホッとしました。

 

それまで自分は、とても能力の低い人間だと思っていたんです。

 

HSPは、正義感が強いので人や物事に対しても、白黒ハッキリとつけたがります。それは、自分自身に対しても同じ。

 

自分の中の矛盾点・至らない点にも容赦なく批判します。HSPは『自分に厳しい』傾向があるのです。

 

この様な理由で自己肯定感が低く、自分は劣っていると捉えがちなHSP。しかし、これは間違えた捉え方です。

 

決して劣っていたり、能力が低い訳ではありません。

 

ついつい、表にでる行動を人と比べがちですよね。本来、『人の価値』というのは、比べる事はできません。繰り返し思い出しましょう。

 

HSPの脳はちょっと特別

HSPと非HSPではどうして違いが出てくるのか?その原因は脳なんです。

 

E【共感力が高い・感情の反応が強い】で、ミラーニューロンが活発と説明しました。

 

HSPは、その他にも脳の『偏桃体(へんとうたい)』と呼ばれる部分の活動も活発です。

 

この偏桃体は、アーモンドのような形をしている神経細胞の集まりで、だいたい目の奥のあたりに位置しています。

 

役割としては、感情の処理、直観力、恐怖、記憶形成などの役割を果たします。

 

特に、ストレス反応(不安・恐怖・緊張など)と大きな関りがあり、偏桃体は刺激に対し「快・不快」を判断します。

 

このような役割を果たす部分が活発だから、人よりも警戒心が強かったり、敏感だったりするんですね。

 

HSPは普通の人です。

HSPと分かってどうだった?

マイノリティーな存在は、よく名前を与えられカテゴライズされます。

 

名前が付けられた事により存在がクッキリします。私は自分がHSPだと知り、ほっと安心して、自分のままで良いんだ。という気持ちになりました。

 

  • 自分は異質な存在だと思っていたけど、そうでは無かった。
  • 少数派だけど、同じような人が一定数いると分かった。

 

この2点が分かり、安堵感へ繋がったのだと思います。

 

私とは逆で、HSPを知れて良かった。という気持ちにならない人もいるようです。

カテゴライズされる事に拒否感を示したり、不快な気持ちになる方もいます。

カテゴライズされたことにより異質な物だとはじき出されたような気持ちになるのでしょう。

 

このように、受け止め方も様々です。あなたはどうでしたか?

 

HSPは『人見知り』と同じくらいのカテゴライズ感

私にとって、HSPとカテゴライズされるのは、

『人見知りだね』

と言われるくらいの受け止め方です。人見知りだからといって、特別変な人として扱われる事は無いですよね。

あ、そうなんだ。人見知りなんだ~くらいです。

 

自分のたった一部分にHSPがあるのであって、HSPで全て構成されている訳ではありません。HSPであっても普通の人です。

 

HSPを言い訳に使わない

自分の中にあるHSPの部分に気づく事は、『幸せに生きること=生きやすさ』へ近づきます。

けれど、あまりにも

 

『HSPだから絶対に○○は避けよう』

『HSPだから、いつも上手くいかない』

 

このように過剰に刺激を避けたり、不都合をすべてHSPと結びつけるのは間違えです。経験や成長の妨げになってしまいます。

 

HSPを言い訳に使ったり、過剰に意識しすぎるのは止めましょう。

 

HSPはその人のほんの一部であって、人格や性格ではありません。

 

HSPとうまく付き合う

とはいえ、敏感で繊細なために生きずらさを感じる事は事実です。HSPを言い訳にせずに、生活するにはどうしたら良いのでしょうか?

 

  • HSPで生きずらい。じゃあ、どうする?
  • HSPとしての特性を生かすにはどうしたら良いか?

 

HSPのデメリット、メリット両方の観点から向き合う事が大切だと思います。

 

生きずらさへの対処

HSPがやってしまいがちな事として、努力や我慢が足りない・自分はダメな奴だと思ってしまう。という事があります。

 

そういう時には、ちょっとだけ冷静になってみてください。

 

HSPの特性が関係していないか考えましょう。そして、どんな事に生きずらいと思っているのか?具体的に書きだしてください。

 

頭の中で整理するのではなく、紙に書きだすというのがポイントです。紙に書くことにより悩みが可視化され、思考を整理しやすくなります。

 

悩みを書きだしたら、その対処を隣に書き出します。例えばこんな感じです。

 

  • 家の前を通る車の音が気になる→耳栓をする
  • 通勤中の駅や街の騒音が苦手→ノイズキャンセリングイヤホンをする
  • 電車の中の匂いで気分が悪くなる→ハンカチに落ち着く香りを付けておき、気分が悪くなりそうな時にはそっと香ってみる。
  • 視覚が敏感で、沢山の情報が飛び込んできて疲れる→伊達メガネをする。少し度を落とした手元だけ見える眼鏡をする。

 

などなど。上記にあげた例は、主に五感(触覚・視覚・嗅覚・聴覚)から感じる刺激に対しての予防策です。

 

このような刺激に対しては、少し工夫をすることで、だいぶ軽減されます。

 

HSPの仲間を探しましょう

HSPさんは同じHSPの仲間と繋がりましょう。メリットとしては、このような事があげられます。

 

  • 人間関係に対する敏感さに共感しあえる。
  • 自分だけじゃないんだと安心につながる。
  • どういう対策・工夫をするか?もしくは、どういう捉え方をするのか?などヒントを得られる場になる。

 

リアルな世界で繋がらなくても大丈夫です。

 

インスタ・Twitterなどで発信している方がたくさんいます。そこに集まるフォロワーもまたHSPが集まっています。

 

その様なコミュニティーは決まって、穏やかで共感してくれる人達が多い印象です。コメント欄やツイートを見るだけでも、あぁ~わかる!と思わず言ってしまう言葉があふれています。

 

ただ、閲覧するだけでも良いですし、少し勇気をだして自らも発信しても良いと思います。きっと共感しあえる・安心する世界を作れることでしょう。

 

HSPの長所を見つけるには
HSPは敏感すぎるがゆえに、それが原因で生きずらさを抱えている。それは事実です。
けれど、『HSPだから生きずらい、辛い、共感してもらえない。なんて損な性質なんだ。』
と嘆いている状態は、ちょうど、こんな感じに似ているように思います。
例えば、リンゴがあったとします。少しキズがついています。Aさんはそのキズを見て悲しみます。
『傷がついている。これは完璧なリンゴじゃない。傷がついていたら食べられない。』
このAさんの状態は、キズばかりに囚われて、必要以上に注視してしまっている状態。きっと、角度を変えて見れば、キレイで美味しそうなリンゴに見えるはずです。
これと全く同じような事で、『HSPの敏感な部分ばかり注視せず、ちょっと違う角度から見てみよう』という事が言えます。例えば、
  • 心配性→あらゆるリスクを予想でき、回避する能力が高い。
  • 神経質→細かな事にも気が付き、配慮ができる。
  • 傷つきやすい→優しい。人に思いやりがもてる。
  • 引っ込み思案→慎重派。

 

このように、少し見方を変えるとHSPの短所と思っていた事が、あら不思議。いつのまにか長所に早変わり。

物事には必ず光と影があります。影の部分と同じくらい、必ず光が当たっている部分も存在しています。
ぜひ、光の部分をHSPさん自身で、もっと見つめるようにしましょう。

まとめ

『HSPとは何か?敏感・繊細ってどういう事?』この記事はいかがでしたか?

長くなりましたが、最後までお読み頂きありがとうございました。

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